2012年2月29日水曜日

シリコンバレーってそういうことだったのか会議

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シリコンバレーでメジャーIT企業で働く方々、現地スタートアップの方々、投資家・VCの方々にお会いしてきましたので、そこでの学びをまとめました。

(タイトルの件ですが、すみません。特にリアル会議してないです。僕の脳内会議です。)



スティーブ・ジョブスがApple創業したガレージ

その事業が「どの程度インパクトがあるのか」を中心に考える

会う人全員にピッチをしてきました。

で、

とにかく、インパクトが大事。インパクトがないと聞く耳を持ってもらえない。

そして、世の中に良いインパクトを与えるためには、現状の前提を全て取っ払わないといけない。

例えば、リスクが高すぎて常人は手を付けられない既存権益の破壊
例えば、今ないものを生み出すために、法律を塗り替えるぐらいの絵

とか、今、当たり前になっていることは全てフラットに考えていい。

現状は一回置いておいて、それを解決したら世の中がどれぐらい良くなるのか、どのぐらい驚くのかという視点を中心に置くから、魅力的で、大きな絵が生まれてくるのだと思いました。

言ってしまうと、当たり前なのかもしれないし、日本で展開している感覚だと少し浮き足立った感じかもしれないですが、これが僕が一番得たもの。


生まれるアイディアが特別なのではなく、カルチャーが特別

エンジェル投資家に対して、スタートアップがプレゼンをするイベント SV NewTech に参加してきました。偉そうに聞こえると思いますが、正直、このレベル?みたいな感じのアイディアがほとんどでした。

まさに、玉石混交。日本も同じぐらいの確率でアイディアは発生しているじゃないかと思います。

差があるのは、起業家を尊重し、引き上げるカルチャー。つまり、投資家と起業家の関係性。

出た杭を叩くのではなく、引き上げる。

ちょっと出た杭に、有名投資家が付く。
だから、他の投資家も振り向く。もっと大きなお金が入る。

極端な言い方だと思うので、字面のとおりではないと思いますが、

・ スタートアップを始めるのにお金は1ドルも持ってなくていい
・ こっちのコンバーチブルノート(転換社債)は返せって言わない

という話を聞きました。

前者は、スタートアップする人たちはお金が無いのは当たり前で、
一方で本人たちに一定の株を持たせながら、数百万単位のお金を投資するエンジェルがたくさんいて、
当然のように人のお金で挑戦すればいいよね、という状態。

後者はコンバーチブルノートで後々やっぱり返してくれって話になったら、
そんな小さいことを言う投資家だという噂が広がって、次の会社に投資しにくくなるから、返してくれと言わない状態。

投資家と起業家の関係において、起業家のポジションが確立されているという印象です。

起業家を賞賛し、応援する文化がシリコンバレーに人を集め、金を集め、成功すると数十億〜数百億円とかのスケールの大金持ちが生まれる。その大金持ちがシリアルアントレプレナー投資家として、次の起業家を支援しに行く、というサイクルが回っています。



約300社のスタートアップが入っているインキュベーション施設 Plug and Play Tech center にて



美談の裏には、泥臭いことが隠れている

今、当たり前のように定着しているサービスも、立ち上げる時には作ったエンジニア自身がサクラをしたり、スパムまがいのバイラル施策を打ったりと、綺麗な顔立ちとは別に泥臭いことをしてきているという話を聞きました。

東京からシリコンバレーの情報を見聞きしていると、あっという間にユーザーが付いて、成功にまっしぐら、気づいたらM&Aみたいな美談ばかり印象にあるのですが、そんなことはなくて、それこそSVNewTechみたいな小さなイベントから這い上がっていく部分だったり、ぎりぎりまでリスクを取った施策を打ったり、泥臭い作業もして広げている姿が裏にあったということが、強く心に残っています。

もともと大企業や政府がそういったものを求めることから始まっているのですが、情報セキュリティ・マネージメントシステムの国際規格である、ISO/IEC27001はダントツで日本企業がとっているみたいですし、PマークやISMSを重要視する文化のもとでは、個人情報の観点でリスクを取った施策が打ちにくく、ルールギリギリで攻めてくる海外勢との競争がしにくいですね。


最後に、現地で僕をアテンドしてくれたDMXの本田社長が、「シリコンバレーで3ヶ月間インターンして学んだこと」 というブログを書いています。よろしければ、こちらもぜひご覧下さい。

読んでいただいて、ありがとうございました。


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2012年2月24日金曜日

Facebook疲れ時代のサービスって、何だろう?

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※本稿、まとめずに勢いで書いておりますので、駄文お許し下さい。


Are you Facebook疲れ, なう?

Facebookで求められる「2面性を許さいない感」が
今まで実現出来なかった現実とネットをぐっと近づける事ができるようになった反面で、
「あー、逃げ場がないな」っていつも思わけです。

特に、ネット業界の人たちは当然のごとくFacebookでコミュニケーションしていますから、
もう昨日と今日言っていることが違いますね、ってことは自ずとバレてしまうわけです。

でも、人間には当たり前のごとく、迷いや苛立ち、恐怖があって、そういう負の感情はぐっと押し殺さないといけなくなってきました

あまりにもリアルに繋がりすぎていて疲れてしまうわけです。

本当はどうでもいいんだけど、先輩・上司・周りに気を使って
「いいね!」とか押している世界です。

90%以上のいいね!は本当にファンではなく、
エンゲージメントを表現していないという記事が前に出ていましたが、
いわゆる「ソーシャルヨイショ」しているわけです。

“フェイスブックマーケティング”の真実:やっぱりフェイスブックの「ファン」はブランドの本当の「ファン」ではない?

それは本当の意味ではリアルではないですね。
ウザければ、氏ね、っときちんと言わないといけないわけです。

今のはやりを見てみると、背景に流れているテーマは
「セルフブランディング」だと思います。

ネット上でよく見られたい、ブランディングしていきたい、そうすることで、
リアルの世界でのつながりが広がってきたり、仕事が増えたりする、という流れです。

一番有名なのは、LinkedInでこれは特に説明が必要ないと思うのですが、
Quoraも実名QAサイトとして、その中でリクルーティングが行われていますし、
PinterestもInstagramもおしゃれ感のブランディングだと思います。

だから、良い子な面を表現しよう、という力がものすごく働いています。
そうじゃないとネット上だけじゃなくて、リアルでもかっこわるいわけです。

ハンドルネームで知らない人にさらっとコメント

一方で、正確には、別に2ちゃんも健在だし、その他掲示板もあるんだけど、
どちらかというと、いいなと思うサービスはそういうものではなくて、
ブログが立ち上がってきた最初の頃の世界観のもの。

僕が大学生のときにブログブームが来て、
ライブドアとか、アメブロとか、
センスのある人は当時からbloggerとか、
出来る人はFC2とかカスタマイズして使い出したタイミングぐらいです。

僕もご多分に漏れず、ブログを書いていました。

Mixiと接続するのって結構悩みませんでした?
現実の友達が見に来るんだって。

結局、会社に入る前に、会社の人が見てるんだと急にリアルを感じて辞めました。

IPで書き主がリアルに特定されるんだ。
という感覚も当時はそんなになかったと思います。
秋葉原の事件とか、が契機かな。

実態としては、当時から2ちゃんもちゃんと
警察には聞かれれば情報公開をしているのですけどね。

あの頃は、もっと知らない人同士がブログで気楽に絡めました。
ハンドルネームだし、知らない人にさらっとコメント残したり、残されたりと。

それ以上にはならないんだけど、
その分、今は書けなくなった負の部分を書くことは容易だったと思います。

Facebook疲れ時代のコミュニティサービス

Arrow ってサービスを知っていますか?


僕は結構好きで、知らない人が即レスしてくれる感じはFacebookには全くない感覚です。

Arrowはいいんだけど、手軽さを追求したので、結局あまり中身のない話を、
しかもその瞬間だけする場になっていて、イマイチ継続してやり込みつづける感は薄いんですね。

完全に匿名でソーシャルなんて一切繋げない、けど、Arrowよりも日記、ブログっぽい感じ。そうしないともっと深く書けないし。

掲示板みたいにトピックがあってそこに人が集まるんじゃなくて、
あくまで人が書いて、誰が見るかわからない日記を書く。

でも、日記を書くのって今のユーザーさんには非常にハードルの高いことなんで、
何で動機づけするのかってのはテーマで、そういう中で eyeland は好きだし、
ソーシャルグラフを一切使わず、位置情報でリアルグラフに基づいたサービス設計をするっていうスタンスがかっこいい。



少し流行って、今は男ばっかりで、改善の余地ありだけど、Facebookと切り離してコミュニケーションできるという意味では、Facebook疲れ時代のサービスになるんじゃないだろうか。

はてなの近藤社長が年始のブログで書いていたのは・・・

しかしもちろん、オープンインターネット空間の良さが無くなったわけではありません。 facebookには、これまでに知り合った知り合いはいても、これから知り合うべき人との出会いはほとんどありません。皮肉なことに、本当にsocial networkingをしたい場合は、オープンな領域に出て行く必要がある、という状況が生まれています。

Facebookにとって、知らない人とコミュニケーションするってことはそもそも外の世界にありますし、未だ知らない誰かと非実名でつながって、不特定の人達の中で偶然通りがかった人がまた訪れることができるような場所で、もちろんそこにはセルフブランディングも入ってこないので公開できるものもある、みたいなネットっぽいところがあってもいいと思ってます。今は、ネットにも逃げ場がないから。

いわば、仮面舞踏会的な・・・(行ったことないけどw)






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番外編

他には、ポケプロ 〜ラインファン用〜 って知ってますか?
30超えて知ってたらただのエロオヤジです。



LINEのファンサイトという見せ方をしていますが、実態は若い子たちを中心にラインのIDを共有してます。

僕はもちろんロムユーザーなんだけど、実名なんてみんな無くて、LINEの最悪、切り捨てられるIDでつながる感じ。使っている人たちはFacebook疲れしているからとかじゃないけど、ソーシャルグラフの力なしでつながりにいっているわけで、セルフブランディングって大人の世界での保証マークみたいなもので、人は繋がりたいし、どう安全・安心につながるのか、ということなんだろうなと思いました。


2012年2月23日木曜日

キンドル、iBook、自炊・・・今、絶対に知っておきたい電子書籍と出版、3つの事実

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iBook / iBook Author 、4月にAmazonからリリースされる日本版キンドル(Kindle)と
今後、電子書籍周辺の生態系が大きく変わるので、そのあたりの情報をまとめました。
ネット業界的には今年、1・2位を争うホットトピックだと思います。

本稿はボリュームがありますが、この記事を読んでいただければ、電子書籍・出版業界の現状と今後について十分な情報を得ていただけます。

今、知っておきたい電子書籍界隈、3つの事実


1.出版社は本を出版し続けないと倒産する自転車操業状態

作られた本のうち、4割が誰にも読まれず捨てられているとご存知でしょうか?
裏を返せば、買う本には捨てられる4割の本のコストが内包されているわけです。

技術書は平気で4000円しますし、
ビジネス書でも1日1冊買って読むとしたら月3−5万ぐらいお金がかかってしまうんですね。

ここには・・・

a. 出版社が本を出版すると、全部取次が買い取る。この時点で、出版社は取次から売上が立つ。小売からキャンセルされた売上相当分はのちのち返す。

b. 取次は小売流通を全部抑え、かつ販売価格を固定し、小売での値引き禁止している。(再販制度)

c. 本が売れなくても小売店はその本を取次店に返せば元値で買い取ってくれる。

d. 過去の販売データを取次が抑えているし、キャンセルすればお金は戻ってくるので、取次はどんどん小売に書籍を送っていく。

e. その結果、実際に購入されずにキャンセルされ、捨てられる本が4割。







大事な点は、出版社にとって出版し続ける限り、取次からキャッシュを得られるという構造
です。実際に、その本が売れなくても1次的にお金が出版社に入るという意味では、取次は流通でありながら、出版社にとってお金を貸してくれる銀行と同じ役割を持っていることになります。

資金力のない出版社は、出版不況で本が売れなくなり、そもそも冊数が出なかったり、キャンセルが増えている中で、今日までのコストを、今日の出版物で得る取次からの売上で回す自転車操業状態になっており、裏を返せば、その構造から新たな出版を止めると、キャッシュが止まり倒産するという宿命にあります。

2.電子書籍の権利を抑え忘れていた出版社

電子書籍が存在すると思っていない90年代までは、紙の出版権は抑えていたものの、デジタルでの出版権を抑えるという概念が存在しませんでした。それどころか、本来、出版社と著者の間で正式な契約書が結ぶべきだったのですが、著者との関係が深いこともあり、実態としては口頭約束で正式な契約書を結ばないままということも往々にしてありました。

そもそも電子書籍について記載がなかったり、契約書を正式に結んでいない場合、電子版での出版権は著者にあることになります。各出版社は出版済みの書籍についても、電子書籍の出版権を抑えにいっているというのが現状です。

今の隙間ビジネスとして、書籍を裁断して、PDF化してタブレットで読む「自炊」を代行する業者が、雨が降った後の竹の子のようにどんどん生まれています。現在も全く需要に追いつかず、多くの業者が2-3ヶ月待ちという大盛況で、業界トップのブックスキャンにおいては米国進出も果たし、米国内でも事務所が送られてくる本でいっぱいになっているようです。

業界の方によると、現在の需要の背景としては、電子版にして、いつでも持ち歩けるようにしたいというニーズもあるが、電子書籍化して本棚や本部屋を無くしたい、というスペースに限りのある日本ならではの事情が強くあるとのことでした。

利用規約を読まないという方がほとんどだと思うのですが、例えばブックスキャンで言うと著作権についてという項目で以下のように記載されているのはご存知でしょうか。
BOOKSCANのPDF書籍変換システムへ依頼できるものは、著作権法に基づき、著作権フリーのもの、著作権が切れているもの、ご自身で著作権を有しているもの、著作者の許可がとれているものです。該当しないものは、トラブル防止のため、ご遠慮ください。

つまり、著作権OKのものだけ送ってね、あとから著作権侵害だってうちが言われても、ユーザーさんがOKって確認後のものだけを送ってもらっていると思っていました、では、その本のスキャンはすぐに辞めます、という仕組みになっています。

ちなみにこのようなやり方は、プロバイダー責任制限法に基づいて、閲覧できる場を用意しているのであり、ユーザーが著作権違反コンテンツをアップロードした場合、通報に基づいて事後削除するという、YouTubeもニコニコ動画などがやっているネット業界的な手法に近い感じします。

再販制度を崩壊を恐れる出版社は、電子書籍化して自分から価格を下げるということもできないですし、一方で、自炊行為生まれるDRMフリーの書籍がシェアされる恐怖感もあって、なんとかこの自炊行為を辞めさせたいという思いを持っていました。

当時ネットでも騒がれましたが、アメリカでスティーブジョブスの伝記が17ドルで販売されている中、日本では上下巻あわせて3800円、電子版も同じ3800円という、ユーザーを無視したこの体制を継続しないと出版社は困るわけです。

そこで、東野圭吾氏を筆頭とする著者達の名前で、こういった代行業者にアンケートを送り、回答をした業者の中で、今後も自炊代行事業を続けていく意志がある、と真面目に回答した2つの業者を相手に訴訟を起こしました。アンケートは地雷だったということです。

この背景は、あくまで裁判をしたかったのは出版社で、出版権しかもたない自分たちでは代行業者を訴える口実が作れず、東野圭吾氏を始めとする代わりに訴えてくれる著者を探して、「複製権の侵害」という内容で差止請求を起こした、というのが背景です。
原告側は「業者が大規模にユーザーの発注を募ってスキャンを行う事業は、著作権法上の複製権の侵害に当たる」と主張。こうした代行業を野放しにすれば「わが国の創作活動や出版活動が衰退する事態を招くことになる」としている。


続いて、著者と出版社の関係に関して、3つ目の事実として以下にまとめました。

3.出版社に刃向かえない著者

著者の収入は一般的に非常に不安定です。著者の収入の柱は出版による印税であり、初版でいくら、重版でいくら、と印刷を重ねていくたびごとに収入が入る、いわばスポットでの収入が中心になるからです。以前、ガイアックスソーシャルメディアラボのメンバーとしてポケット百科 facebook 知りたいことがズバッとわかる本 の共著を致しましたが、初版が出る前から初版分でいただける原稿料がコミットされており、重版が掛かるたびに原稿料が入るという流れでした。

その構造において、自分の名前だけで食べていける一部著者を除いて、ほとんどの著者は出版社がなければ書籍化できず食べていけないので、基本的に友好な関係にいたいと思っていますし、多少のことがあってもあまり強く出られない、という状況です。

一方で、著者が出版社を介さず収益を上げる流れが出てきています。「ブラックジャックによろしく」「海猿」の著者の佐藤秀峰氏のケースが特徴的で、作品を自身が運営するウェブサイト「漫画onWeb」で無料公開し広告収益を得るとともに、ダウンロード課金をしています。ITメディアの記事によると、佐藤氏は
「無料で公開するほうが、サイト全体の売り上げは上がる」
と語っており、先の業界構造に反旗を翻す、チャレンジングなモデルとして注目しています。他にも、有料メルマガは著者にとって出版社に依存しない、安定的な収益源になりますし、Gumroad のように著者がインターネットの力を使って、流通を飛ばして、直接コンテンツを販売するという流れは今後も続くのではなかと思います。

キンドル、iBook、自炊から想像する電子書籍の未来


1. キンドル


キンドル上陸で期待することは、Amazonが持つ Buying Power を背景に、日本の出版業界がまったり進めてきた電子書籍化に、一気にプレッシャーをかけ、押し進めることです。

加えて、アメリカでは、著作者に有利な条件を提示する一方で、紙よりも低価格で提供することを条件にしています。

・販売価格2.99ドル以上9.99ドル以下であること。
・デジタル版の販売価格はあらゆる印刷版の価格の80%以下の価格でなければならない。

上記を含め、一定の条件を満たすと著作料が70%、条件外では35%となります。

日本ではスティーブジョブスの本を始め、再販制度の元、本と同じ価格で販売したいという出版社側の圧力が働いていますが、今回の日本版キンドルで出版社からデジタル版の本を出させると共に、価格を押し下げるところまで実現するのか、ということが注目すべき点になります。

2. iBook



著者が自分で「出版」(=iBookAuthor)ができ、流通(=iBook)ができるようになりました。iBookAuthorについては当初、当ツールを使って制作した書籍は無料であればどこで配ってもよいが、有料で販売する場合はiBook Storeのみ可能というレギュレーションを設けました。批判が相次いだからなのか、その後、有料であってもPDFやその他の電子書籍フォーマットであれば、他で販売してもよいということになりました。
このことによって、出版社を通さずとも制作から流通販売まで一貫して提供できるようになりました。裏をかえせば、今まで出版社は著者へ出版に際する原稿料として、8-12%程度の著作料を支払って来ましたが、あくまで出版社がいないと成り立たないビジネスモデルだっただけで、この件を皮切りに著作料の交渉ができるようになります。

3. 自炊


自炊業者がどんどん生まれてくる中でさえ、需要が追いつかない状態です。
ブログで明示できないのですが、ある根拠に基づいていた私の調査によると2012年2月現在までにおおよそ100万冊、重複を抜いて30万冊程度の書籍がすでにPDF化されていると推察をしています。国内で最大の書店である池袋ジュンク堂に置いている書籍が、常時在庫150万冊ということですから、自炊の波が生まれて1年ぐらいで国内最大店舗の書籍数に徐々に迫ってきています。
これは、出版業界が出遅れたという環境と自分でPDF化することを厭わない日本人ならではの細かさが表出した現象だと思います。私が今月上旬にシリコンバレーに行った際の現地の方の反応は、「日本人はそこまでして本を電子化したいのは驚き。米国人的には考えられないし、それ以前にAmazonがあったしね。」というものでした。

今後、この溜りに溜まったDRMフリーのPDFデータが、音楽におけるナップスターのように出回る危険性も十分にあると思います。

昨年のちょうど今頃、「baiduライブラリ」というリリースされ、あまりの批判ですぐにサイト閉鎖をしました。
コンプライアンスという単語を知る者であれば誰もがイナバウアーしてしまい そうな新サービスが百度から。

2月に入ってから18歳の方も同様の犯罪で捕まっています。
漫画「ワンピース」など3800冊分を無断配信で少年逮捕 250万人アクセス

無料で配信することでユーザーは楽しめるものです。しかし、著作者が著作料を取れないということで、次の作品を生み出せないということであり、Amazonを始め電子書籍の市場が整うことは重要な意義があると考えています。

4. 未来




講談社の全新刊、6月から紙と電子で同時刊行へ


昨日ニュースが出ていましたが、この講談社の取り組みように徐々に出版社も重い腰を上げ始めています。講談社が電子書籍をいくらで販売するのかは現時点でわかりませんが、いづれ早かれ遅かれ、電子書籍の価格は下がることになります。


また、著者が販路を自分で拡大する道が増えて、出版社に依存しなくてもよくなっていきます。著者は「無料」を始め独自のプロモーションで、多くの「共感」を集め、自身の名前で本が売れていくことになります。ソーシャルメディアはそのスクリーニング機能でより良いものを、嘘偽りなく引き上げ、メディアが創り上げてきたヒット作の構造を壊していきます。その意味で、これからの著者は本当に世の中に響くいい作品を作ることに純粋に集中できるのではないでしょうか。
一方で、出版社に求められる機能は、今まで最も価値が高かった「流通を抑えていること」ではなく、良い出版物を出すための「コンサルティング」と、1人の著者では仕掛けられないムーブメントだったり、文化づくりといった「総合的なプロモーション」に絞られていくのではないでしょうか。

前者の「コンサルティング」に関して言うと、編集者の技量にかかるウェイトが高くなります。現在は、出版社に所属するサラリーマン編集者と、どこにも属さないフリーの編集者と2パターンいるのですが、前者のサラリーマン編集者は会社の中で自分の企画の稟議を通さないといけないので、どうしても自分の会社の顔色を伺ってしまいます。フリーだからといって必ずしもそうではないてすが、読者にとって純粋な面白さを追求できるヒットメーカーの編集者は、今後より重宝されますし、もっと高い年俸を取れるようになるのではないでしょうか。

また、コンサルティングや総合的なプロモーションは余力のある企業しかできないですし、自転車操業で回らない、資金力のない出版社は大手3社(小学館、講談社、集英社)に買収をされるか、自然淘汰されていくのではないかと思います。

アメリカでは、創業2年で、著者2000人、独立系の出版社80社と契約し、3000冊以上の電子書籍を出したスマッシュワーズを代表として、電子書籍ディストリビューターがビジネスを拡大しています。今年に入っての講談社、Amazonの動きを見ていると、国内でのこの手のビジネスに今から参入するのは、はすでに二歩・三歩遅い感じがしますが、まだ頭角を表している企業もないという状態だと思います。

Appleは現在、教科書にターゲットを絞って展開していますが、もちろん広大な一般書籍マーケットは彼らのターゲットですし、分厚い、高い、重いという3重苦を背負った書籍は全て電子書籍化の大きな恩恵を受けられるものと思います。そういう意味では、プログラミングの技術書などはまさに格好のターゲットと言えるのではないかと思います。

最後に、佐々木俊尚氏の電子書籍衝撃が非常に詳しく、参考にさせていただいております。この分野の必読書だと思いますので、もっと幅広く、詳しく情報を得たいという方はご覧下さい。




最後に、長文を読んで頂き、ありがとうございました。


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